GNSS受信機とは、GPS、GLONASS、BeiDou、Galileo、QZSS(みちびき)などの人工衛星電波を受信し、地上における位置・座標を高精度かつ即座に取得する高精度測量機器です。
GNSS受信機とは?
仕組み・用途・種類・使い方を解説
GNSS受信機は、複数系統の測位衛星群(マルチGNSS)からの電波信号を解析し、ミリ〜センチメートル単位の高精度な位置(X, Y, Z座標)を決定する測量機器です。
公共測量の基準点設置から、建設現場での杭打ち・位置出し、境界確認、地籍調査まで、現代の測量業務の基幹機器として活用されています。
従来の単一GPS測量と比較し、現代の先進GNSS受信機は以下の特長を持ちます。
- 1400チャンネル超のマルチGNSS追尾(GPS, GLONASS, BeiDou, Galileo, QZSS)
- ポールを斜めに傾けても高精度に測定できる「IMU傾斜補正機能」
- 写真撮影やレーザー照射で離れた点や隠れた点も直接測定できる「アシスト測定機能」
- RTK(リアルタイム・キネマティック)により現場で数秒でセンチ級座標を取得
GNSS測量の仕組み
GNSS受信機は、主に以下の測定方式と技術により高精度な位置を決定します。
RTK(リアルタイム・キネマティック)測量 / ネットワークRTK(VRS)
固定局(または電子基準点ネットワーク)からの補正情報を通信で受け取り、移動局側で即時に搬送波位相補正を行って数ミリ〜1cm強の精度で位置を即座に決定します。
スタティック(静止)測量
複数の基準点にGNSS受信機を長時間(数十分〜数時間)据え付け、衛星電波を連続受信したデータを後処理解析することで、ミリ単位(1級GNSS測量機)の極めて高い相対位置精度を得る手法です。
IMU傾斜補正(ポール傾き自動補正)
受信機内部のIMU(慣性計測装置)がポールの傾き角度と方向をリアルタイムに検知し、先端の石突位置の座標を正確に数値計算します。水準気泡管を厳密に合わせる必要がありません。
GNSS受信機の用途
GNSS受信機は、以下の幅広い現場で活躍しています。
公共測量・基準点測量
1級GNSS測量機として国土地理院登録され、三角点や電子基準点に基づく1等〜4等基準点の設置に使用されます。
建設現場の杭打ち・逆打ち・位置出し
設計データ(CSV/SIMA)をコントローラに読み込み、現場の指定位置(X,Y,Z)へ作業員をナビゲーションして迅速に杭打ちを行います。
地籍調査・用地測量・境界確認
土地の境界点座標の取得や確認作業において、視準障害のある樹木下でも機動的に観測を行います。
写真・レーザーアシストによる困難点測量
壁際、建物の陰、障害物の直下など、直接ポールを立てられない場所もカメラ画像やレーザー測定で間接取得します。
GNSS受信機の種類
用途に応じたモデルがあります。
ハイエンド複合モデル(GX2-C / GX2-L)
高精度RTK性能に加え、写真測量・杭打ち画像アシスト(GX2-C)や、レーザ測量機能(GX2-L)を備えた最上位モデルです。
高精度標準モデル(GX2-A)
1408chマルチGNSS、60°IMU傾斜補正、IP68堅牢ボディを備え、現場の主力を担うネットワークRTKモデルです。
RTK無線セット(固定局・移動局簡易無線構成)
携帯電話回線の届かない山間部でも、外付け351MHzデジタル簡易無線を使用して固定局・移動局間でRTK補正情報を伝送するシステムです。
GNSS受信機の使い方
標準的な観測手順は次の通りです。
1. 据え付け・ポール設置
カーボンポールまたは三脚にGNSS受信機をセットし、電源を投入します。
2. コントローラ接続・設定
現場用野帳端末(DuraForce EX / FZ-N1等)とBluetooth接続し、観測モード(RTK / VRS / スタティック)を選択します。
3. 補正情報取得・Fix確認
ネットワークRTK通信を確立し、初期化時間(約10秒)で「Fix解(高精度状態)」を確認します。
4. 観測・座標記録
対象点にポール先端を当て、ボタン一つで座標(X,Y,Z)を取得。傾斜補正によりポールを傾けたままでも記録が可能です。
PENTAX(TIアサヒ)GNSS受信機の特徴
PENTAX GX2シリーズは、「圧巻の受信力」「先進の測定アシスト」「最高峰の耐久性」を備えた次世代GNSS測量機です。
1408チャンネル マルチGNSS追尾
GPS、GLONASS、BeiDou、Galileo、QZSS(みちびき)の全衛星群を全周波数帯で同時に捕捉。上空視界の狭い山間部やビル街でもFix率が向上します。
最大60°対応 IMU傾斜補正機能
気泡管を見る必要がなく、ポールを大きく傾けた状態でも正確な先端座標を取得。測量速度が格段にアップします。
写真・レーザー・画像杭打ちアシスト(GX2-C / GX2-L)
画面上のAR画像で杭打ち位置を視覚的にナビゲート。ポールが立てられない危険場所もレーザーや写真で離れて安全に計測できます。
IP68最高等級防塵防水&ホットスワップバッテリー
過酷な暴雨や砂塵の中でも安心して使用できるIP68。バッテリ2個搭載で稼働したまま交換できるホットスワップにより、約20時間の連続観測が可能です。
スペック表
GX2シリーズ GNSS受信機 スペック比較表
| 仕様項目 | GX2-C | GX2-L | GX2-A |
|---|---|---|---|
| 型名 | GX2-C | GX2-L | GX2-A |
| 国土地理院登録(申請中) | 1級GNSS測量機 | 1級GNSS測量機 | 1級GNSS測量機 |
| 【受信性能・精度】 | |||
| チャンネル数 | 1408 | 1408 | 1408 |
| 受信周波数(※1) | 【GPS】L1 C/A, L1C, L2C, L2P, L5 【GLONASS】L1 C/A, L2C/A, L2P, L3 【BeiDou】B1, B1C, B2, B2a, B2b, B3 【Galileo】E1, E5a, E5b 【QZSS】L1 C/A, L1C, L2C, L5 | 【GPS】L1 C/A, L1C, L2C, L2P, L5 【GLONASS】L1 C/A, L2C/A, L2P, L3 【BeiDou】B1, B1C, B2, B2a, B2b, B3 【Galileo】E1, E5a, E5b 【QZSS】L1 C/A, L1C, L2C, L5 | 【GPS】L1 C/A, L1C, L2C, L2P, L5 【GLONASS】L1 C/A, L2C/A, L2P, L3 【BeiDou】B1, B1C, B2, B2a, B2b, B3 【Galileo】E1, E5a, E5b 【QZSS】L1 C/A, L1C, L2C, L5 |
| RTK 水平精度(※2、※3) | 10mm + 1ppmD rms | 10mm + 1ppmD rms | 20mm + 1ppmD rms |
| RTK 垂直精度(※2、※3) | 20mm + 1ppmD rms | 20mm + 1ppmD rms | 20mm + 1ppmD rms |
| スタティック 水平精度(※2、※3) | 2.5mm + 1ppmD rms | 2.5mm + 1ppmD rms | 5mm + 1ppmD rms |
| スタティック 垂直精度(※2、※3) | 5mm + 1ppmD rms | 5mm + 1ppmD rms | 5mm + 1ppmD rms |
| RTK 平均初期化時間(※4) | 10 秒 | 10 秒 | 10 秒 |
| 【機能・測定アシスト】 | |||
| 傾斜補正機能(※2) | 補正範囲: 60°、補正精度: 20mm rms (30°以内) | 補正範囲: 60°、補正精度: 20mm rms (30°以内) | 補正範囲: 60°、補正精度: 20mm rms (30°以内) |
| 杭打ち画像アシスト(※2) | 精度 20mm rms | 精度 20mm rms | — |
| 写真測量機能(※2) | 精度 20-40mm rms (測定距離 2m – 15m) | — | — |
| レーザ測量機能(※2) | — | 精度 55mm rms (測定距離 5m) | — |
| 【動作時間・電源】 | |||
| 動作時間(※4) | RTK 連続測定・NetRTK 連続測定・スタティック連続測定 約20時間(内部バッテリ2個) | RTK 連続測定・NetRTK 連続測定・スタティック連続測定 約20時間(内部バッテリ2個) | RTK 連続測定・NetRTK 連続測定・スタティック連続測定 約20時間(内部バッテリ2個) |
| バッテリー | BP09 (Li-ion 7.4V 3350mAh 2個標準装備 ホットスワップ対応) | BP09 (Li-ion 7.4V 3350mAh 2個標準装備 ホットスワップ対応) | BP09 (Li-ion 7.4V 3350mAh 2個標準装備 ホットスワップ対応) |
| 充電器 | 専用充電器 BC05 セット (BC05、AC07、PC01) | 専用充電器 BC05 セット (BC05、AC07、PC01) | 専用充電器 BC05 セット (BC05、AC07、PC01) |
| 【データ記録・通信・インターフェース】 | |||
| データ記録 | 内部ストレージ | 内部ストレージ | 内部ストレージ |
| データ更新レート | 1.5 Hz | 1.5 Hz | 1.5 Hz |
| データ形式 | 独自フォーマット、RINEX | 独自フォーマット、RINEX | 独自フォーマット、RINEX |
| RTK 補正情報フォーマット | RTCM Ver.3.0, 3.2 | RTCM Ver.3.0, 3.2 | RTCM Ver.3.0, 3.2 |
| データ出力フォーマット | NMEA0183 | NMEA0183 | NMEA0183 |
| インターフェース(※5、※6) | 【Lemo7Pin】外部無線機ポート(シリアル、外部電源入力) 【USB】PCデータ通信ポート 【無線】コントローラ/PC通信 | 【Lemo7Pin】外部無線機ポート(シリアル、外部電源入力) 【USB】PCデータ通信ポート 【無線】コントローラ/PC通信 | 【Lemo7Pin】外部無線機ポート(シリアル、外部電源入力) 【USB】PCデータ通信ポート 【無線】コントローラ/PC通信 |
| 【構造・耐候性】 | |||
| 防塵・防水性能 | IP68 | IP68 | IP68 |
| 使用温度範囲 | -25℃ 〜 +60℃ | -25℃ 〜 +60℃ | -25℃ 〜 +60℃ |
| 寸法・質量 | Φ155mm × H80mm 1.0kg(バッテリ込み) | Φ155mm × H80mm 1.0kg(バッテリ込み) | Φ155mm × H80mm 1.0kg(バッテリ込み) |
| 【コントローラ・ソフトウェア】 | |||
| コントローラハードウェア(※7) | 【動作確認端末】京セラ DuraForce EX、パナソニック FZ-N1 | 【動作確認端末】京セラ DuraForce EX、パナソニック FZ-N1 | 【動作確認端末】京セラ DuraForce EX、パナソニック FZ-N1 |
| コントローラソフトウェア機能 | ●プロジェクト管理 : 作成、選択、削除、データ入出力(SIMA・CSV)、路線計算・選択、平面図確認、座標手入力 ●観測/記録 : スタティック観測サポート、RTK観測、VRS観測 ●測量計算 : ST計算、面積計算、3点交点計算、3点1方向角計算、2点2方向角計算、内外分点計算 ●編集/検索 : 測点名重複確認、測点名処理設定、座標桁数設定、傾斜補正機能ON/OFF ●条件設定 : 各種設定 |
●プロジェクト管理 : 作成、選択、削除、データ入出力(SIMA・CSV)、路線計算・選択、平面図確認、座標手入力 ●観測/記録 : スタティック観測サポート、RTK観測、VRS観測 ●測量計算 : ST計算、面積計算、3点交点計算、3点1方向角計算、2点2方向角計算、内外分点計算 ●編集/検索 : 測点名重複確認、測点名処理設定、座標桁数設定、傾斜補正機能ON/OFF ●条件設定 : 各種設定 |
●プロジェクト管理 : 作成、選択、削除、データ入出力(SIMA・CSV)、路線計算・選択、平面図確認、座標手入力 ●観測/記録 : スタティック観測サポート、RTK観測、VRS観測 ●測量計算 : ST計算、面積計算、3点交点計算、3点1方向角計算、2点2方向角計算、内外分点計算 ●編集/検索 : 測点名重複確認、測点名処理設定、座標桁数設定、傾斜補正機能ON/OFF ●条件設定 : 各種設定 |
| 【RTK 用無線仕様(RTK セットのみ)】 | |||
| タイプ / 周波数 / チャンネル / 通信速度 | 外付け型 簡易無線(デジタル) / 351MHz帯 / 30 チャンネル / 4800 bps | 外付け型 簡易無線(デジタル) / 351MHz帯 / 30 チャンネル / 4800 bps | 外付け型 簡易無線(デジタル) / 351MHz帯 / 30 チャンネル / 4800 bps |
| 固定局 空中線電力 / 仕様 | 1 / 2 / 5W 送信専用 | 1 / 2 / 5W 送信専用 | 1 / 2 / 5W 送信専用 |
| 固定局 本体質量 | 570 g | 570 g | 570 g |
| 移動局 空中線電力 / 仕様 | 受信専用 | 受信専用 | 受信専用 |
| 移動局 防塵・防水性能 | IPX5 相当 | IPX5 相当 | IPX5 相当 |
| 移動局 本体質量 | 270 g | 270 g | 270 g |
まとめ
GNSS受信機は、高速かつ確実な位置決定により、現代の測量・建設現場の業務効率を極限まで高める測量機器です。
TIアサヒのPENTAX GX2シリーズは、過酷な現場に耐え抜く堅牢性と、画像・レーザーによる革新的な測定アシスト機能で、測量作業者の現場作業を力強くサポートします。製品デモのご依頼やお問い合わせはお気軽にご連絡ください。